記憶の破片

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紅茶の香り

保育園に通っていた私は、パーティで出てくる紅茶が苦手だった。飲めるようになったのはいつだったか覚えていないが、きっかけは温めた紅茶が美味しいと気付いた時だろう。紅茶なんて小洒落た人が好む物だと思っていた。良さも分からなかった。紅茶は味だけでなく香りを楽しむ物だと気付いたのはここ最近だ。私にとって紅茶の香りは、人を待つ匂い。人を想い持つ匂いだった。それは保育園の縁日で母が来るのを待つ匂い。今になっても冷えた紅茶は嫌いだし好きでは無い。ふとあの待っている時の孤独感を思いだすから。

10/27/2024, 11:31:46 AM