【紅茶の香り】
カチャカチャとカップの触れ合う音が響く。
毎日同じ動作を繰り返したおかげで、今ではだいぶ効率良く動けるようになってきた。
水が沸騰したことを確認し、ポットに入っていたお湯を捨てて代わりに茶葉を入れる。沸騰したてのお湯を注ぎ、砂時計をひっくり返した。
時間きっかりに注いだ紅茶から登る華やかな香りが鼻をくすぐる。
美味しい紅茶が飲みたくてレッスンにも通った。紅茶インストラクターの資格も取った。最初に比べれば茶葉の知識も増えたし、紅茶の入れ方も上手くなった。自分好みの茶葉も入れ方も大方分かってきた。
とても美味しい紅茶を入れられるようになったんだ。
でもね、君が入れてくれた少し苦い紅茶にはどうしても勝てないよ。
10/28/2023, 9:23:35 AM