鋭い眼差しが刺さる。こんな狭いエレベーター内じゃあ逃げ場もない。ただ、お説教はこの警報音で少しはかき消されるだろう。
「わかってますって、大きなミスでした。すみません」
ボサボサ頭の研究員、波堂竜生は大して反省の色を見せずに謝った。
「あなたのせいで今、研究室は大混乱よ」
彼の上司の和尚菫は落ち着いた口調でどうするのよ、と言わんばかりに状況を説明していた。波堂が新しく創った生物が大暴れし、研究所が軽いパニックになり、創った張本人である波堂を和尚が地下研究所に連れて行っているところである。
「はぁい」
彼はそんな説明に気の抜けた聞いているのか、聞いていないのか、よくわからない返事をする。
「とにかく、事態を収拾つけるまで反省は後よ。まぁ、あなたはあまり反省しないんでしょうけど」
「そうですね!」
本当に反省の色がない。
「はぁ~」
彼女は頭を抱えた。
10/15/2024, 5:00:13 PM