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「今日は、一日中雨の予報です。」
「まじかー。」
私は、今日好きな人に「告白」しようとしていた。
特別な日にしようと思っていたのに今日に限ってなんで雨なんだ!!
でも、仕方がない。覚悟を決めたんだから。
トボトボ歩いていると、聞こえて来るのは雨の音だけだった。
下駄箱に着くと、いつもとはちがうなにかを感じていた。

6時間目が終わり、放課後。
空き教室で好きな人をまっている。
この鼓動は、みんなの前で自分だけ立つとかそういう次元ではないことが一番わかる。
ガラガラガラ
「いたいた。どうしたんだ?」
「あ、うん。ちょっと話したいことがあって。」
「あのね、えっと、私と付き合ってください!」
「えっと…ごめん。俺、好きな人がいるんだ。」
えっ?知らない。そんなの知らなかった。
さっきまで聞こえていた雨の音は、どこに行ってしまったのだろう。何一つ耳に入ってこなかった。
「そう、なんだ…、応援してるね…笑」
「ごめん…ありがとう。」

こんな時、普通の私だったら仲良い友達にそうだんしてるよね。でも、今は相談する気にもなれなかった。
帰り道、朝とは変わらず強い雨が降っていた。
あれっ?傘が無い。朝は必ずあった。使っていたのだから。きっと、誰かに取られたのだろう。
今日は、一段と運が悪い。
(走っていくしかないな。)
いつもなら意地でもこんな事しない。けど、そんなこと考えるのだけでも精一杯だった。
はぁ、はぁ、
あとちょっとで家に着く。
でも、なぜだろう。スピードがだんだん遅くなっていく。いつしかその場に足が止まっていた。
なんだろうか。視界がぼやけてくるのだ。額には、大きな水が流れていく。どちらなのだろう。水なのか、涙なのか。
今日は、雨でよかったな。雨で涙も紛れてゆくのだから。
毎日毎日、雨ならいいのに。そしたら、嫌なことも雨の音と水でながれてゆくのにな。毎日毎日そうなればいいのに。

10/8/2024, 11:30:01 AM