沈む夕方
カチャ…カチャ チッ、チッ、チッ、チッ……
薄暗くて広い部屋に、ホ−クとナイフを動かす音と時計の音が鳴り響く…
窓の外には夕方が沈んでいた……その景色は君と出会う前までの寂しい景色とは違って見えた…
…次の日…
ピピピッピピッピピッピ…………シャッ
朝のぎんぎんとした元気のいい日光が僕の顔を照らす…
隣でお世話ロボットが僕を見ていた…
「幸治様…朝ご飯が…できましタ…」…
感情のない片言な言葉遣い…そらそうか…ロボットだし…
「あぁ…ありがとう」
僕の父は財閥の御曹司でとても家にいる時間が少ない…いや…いないと言ってもいいだろう…母はそんな父を浮気をしているから家にいないんだ…と言い僕を置いてこの家から出ていった…浮気をしていたのは…どっちだか……
作業を終えたロボットは会釈をし部屋から出ていった……
秋の風が少し寒くて身震いする…
道の横に咲いている金木犀を見ていると、突然鼻の奥にツンとした痛みを感じた…
「幸治様おはようございます!!」
「幸治様おはようございます!」
女子たちは当たり前のように、近づいて来て自慢のきつい香水を僕にふりまく…
「ねぇねぇ幸治様ってぇ頭よし、顔よし、でおまけにお金持ちなんでしょ〜!すごいよねぇ~」…
隣の女子が僕のことをひそひそと話している…
とても不愉快だ…
女子たちの話を笑顔で聞き流す…
つまらない話しだからかとても学校までの距離が長く感じた…
やっとの思いで学校に着くと、校門の前で持ち物検査の列ができていた…
「もうそんな時期か…」
僕はそっとため息をして、列に並ぶ…
僕に付きまとっていた女子たちも列に並んだ…
「はい、これは没収ですね~」
そう言って黒髪ロングの清潔そうな女子が僕から2番くらい前の厚化粧をした小太りの女子のカバンから化粧品らしき物を取り出した…
厚化粧女は納得ができていないようで怒り狂い黒髪の子を殴ろうとしている……
周りは見ているだけで助けようとしない…中にはこのままほうっておけば、持ち物検査が終わるのではないか…と呟く奴もいた…流石にこのままではまずいと思い、僕は止めに入ろうとした途端……
ドカン…
なんと黒髪の少女は厚化粧女投げ飛ばしたのだ…
4/8/2023, 10:25:12 AM