感謝情緒

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人魚姫って知ってるかい?そうそう、綺麗な女の子が王子様を愛して泡になってしまう話さ。
ハッピーエンドとも言えない、バッドエンドとも言えない、何とも言えない悲しい話である。
約一万kmの底で物語の想像は異常を期し、儚げな少女を生み出した。夢を希望と語り人魚姫は今尚、泡となり海に揺れている。マリンスノーと。
人魚姫は今何を思うのだろう。王子に対しての感情か、其れ共自分に対しての感情なのだろうか。問いかけをしたとて、泡は喋ることは無い。よって物語はここで終わる。
私たちは、人魚姫の続きを書くことが出来ない。私たちは人魚姫を知らない。物語から見る第三者視点でしか、人魚姫を理解することは出来ないのだ。
人魚姫は、美しく散っていった。愛する人と自分の命をかけて彼女は、愛する人をとる。手を引いて、泡となる身体を受け止めて。
貴方らにこれはできるか、愛する者の手を取れるか。
彼女は美しい。海の中で1番、海の底に溜まる泡と同じで。彼女は美しかった、泡となっても彼女は美しいまま海と一つになった。
彼女は綺麗なままだ。その理解には程遠い、続編など存在しない。ただ、一人の乙女として、終わりを告げるだけの物語。なのにどうしてこんなにも愛しく感じるのか。

己の人智を超えているからこそ、人魚姫は美しく映るのだ。

1/20/2023, 10:29:04 AM