鳥のように
「どっか遠く行きたいな、鳥のように」
そんなふうに呟いた友人を見て、言葉を返す。
「渡り鳥は季節で移動するから、どっか行ってもまた戻ってくるぞ」
ツバメとかそうだよな。と付け足すと友人は机に突っ伏した。
「別荘か何かなの?どっか行って帰りたくないのー」
「現実逃避してないで宿題やれ」
夏休みももう終わる。それなのに友人の宿題は山のように残っている。自分が遊びに誘わなければこの惨状を友人1人でこなしたのか。……いや、不可能だったろう。
「写さしてー」
「だーめ、自力でやれ」
見ててやるから。そう言うと、唸りつつも宿題に向かい始めた。
この自由気ままな友人が、なんだかんだと最後には自分を頼ってくるのに、鳥のようなやつだな、と心の中で呟いた。
8/21/2024, 10:36:31 PM