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最初から決まってた

いつか捨てられる、なんて怯えながら、あなたの隣を歩いていた。いつかこの指の震えが止まっても、必ず別れは訪れるものだから。

「ねえ、豊さん今日のお夕飯はなんでしょうね」
「どうせなら、好物がいいな」
「それもそうね」
2人、桜の木の下を歩いた。どこか満たされた世界で、時間だけがゆっくりと流れていった。
「なあ、キスしてもいいか」
「もう、私たちそんな歳じゃないでしょう」
指の震えが止まったのは何年前か、数えるのはもうやめてしまった。あなたの隣を歩いていたはずが、今はあなたの車椅子を押して歩いている。
あと半年後には訪れる別れだけど、きっとこうなることは、最初から決まっていた。

8/7/2023, 4:09:24 PM