「──ごめん」
大好きだった
ホントに……大好きだった
大好きすぎて上手くいかなかった
「──好きです」
告白したのも貴方でした
私をフったのも貴方でした
好きのバランスは安定していたはずなのに
「──どうして?」
一緒にいる時間が長くなるにつれて
当たり前という束縛
安心感という見えない手錠
慣れという鳥かご
それらに二人、囚われていたのかもね
「──いつから?」
彼は私の隣を離れ
彼は私から親友を奪った
彼は私を“好き”と言いながら
“サヨナラ”と言った
──好きになりすぎたから
そう言われた時、私にも心当たりがあった
涙が零れて
頬を床を……服を……拭う手を濡らす
好きの数だけ流れる涙
思い出をカラフルのまま
流していく
貴方を思い、流した涙の数だけ
気持ちは冷めて
ゼロの自分に戻る──
そう信じて
私は涙を……堪えず
頬を濡らし続ける──
(2023.06.03/失恋)
6/3/2023, 11:50:56 AM