思春期真っ只中の男子学生が、初恋をした。
けど、内気で言えず手紙をしたためて、海から近い学校生活を送っていた。
肝心の女子には、挨拶を交わす程度のクラスメイト。
日常会話さえ…できず、かと言って挨拶だけの関係でこの手紙を渡すのは、よくないなと思っていた男子学生。
月日が経ち、高校受験に向けて中学三年生の夏は、勉強に塾に明け暮れた。
つまるところ、去年の夏も今年の夏も、その子と夏祭りさえ行けてない、デートのデの字も起きてなかったのだった。
でも男の子は、受験を控え勉強に明け暮れ、胸に秘めていた気持ちがある。
第一志望校に合格したら、『 好き 』という気持ちを伝える。好きだからこそ、『 お友達になりたい。』というのを伝えて、そこから交際に発展することを、男の子は願い想っていた。
その女子とは、塾は別だったので受験の話すらも…あまりできず、挨拶程度。
そして、試験の当日まで日が流れた。
男の子は無事に合格はした。
女の子もその男の子とは別の学校だが、合格したみたいだ。
だけど…男の子にとってはそのあとの出来事は……あまりにも哀しく切ないことが起きたのであった。
いつも通りその子が、下校する通学路を帰っていた。
中学一年の頃から、寄り道せず同じ道を自転車で通るルート。
橋から見下ろせる海辺のキレイな景色を横目に、彼女は下り坂を滑走していた。
「この光景もあと、数日したら見れなくなっちゃうんだな…」と思いを馳せながら。
突如横から、野良猫が飛び出してきて慌てて、ブレーキをかけつつ、咄嗟にハンドルを切り替えた先が……。
資材を運んでいるトラックの運転手と女の子との目と目があい、そのまま女の子は意識なく帰らぬ存在になってしまったのだった、。
後日、男の子は普段通りの登校し教室に入り騒がしいなと思ったのは言うまでもないだろう。
卒業を控えたクラスメイトみんなが、まさか同級生がそんな悲惨な終わり方をするだなんて微塵にも思ってもいなかったのだから。
それを知った、男の子……
その場に崩れ落ちるように、座り込み。
産まれてからこれ以上ないほどに、泣き叫び。
近くにいた子に、事故起きたところはどこか…を問い詰めて聞き出し、有無を言わさず学校から走り去る彼。
現場にはまだ、その子の身体の一部であっただろう血の跡が道路に染み付いて赤暗くなっていた。
いつも、肌身離さず持っていた手紙が入った封筒。
現場についてから取り乱しながらも、彼女はそこにいないのに、言葉を継ぐみつつ泣いて取り出した封筒。
ふと、男の子は何かを感じとり涙を伝う顔をあげたら、いるはずもないのにその女の子が、男の子を見下ろしていた。
『 〇〇君私知ってたんだよ。
あの一年生の時、〇〇君が私の事をすき。になったのかなって。その為に勉強も全力で取り組んで、希望のところに行けたのも。知ってたんだ。
私も好きだったから。
私はもう居ないけど、1番先に〇〇君がここにくると分かっていたから、待ってたんだ。その手に持ってる手紙…読めない身体になってごめんね。
でも、その手紙いっぱいに〇〇君の気持ちが詰まってるんだよね。ありがとう大好き』と、ニコッと微笑んだ瞬間に強い風が吹き、手に持っていた手紙は風に舞い、高く高く舞があり、その女の子が見ていた景色の海の彼方へ流れていくのであった。
男の子は、欄干に手をかけ、風で舞っている手紙の方角に向けて
「俺は…おれは……!!!
内気で、挨拶しかできなかったけど、それでも幸せだったんだ!!笑顔で〇〇ちゃんが、挨拶してくれるだけでそれだけで…本当に幸せだったんだ。もし、告白なり友達になったら喧嘩をしたら、その笑顔が見れなくなるのが……あまりにも、、あまりにも嫌だったから。。
こんな事が、事故が起きてしまうんだったら、ちゃんと伝いたかったよ。
〇〇ちゃんのその笑顔が堪らなく大好き!って。」
その間に風に舞がっていた、手紙は無常にも海面スレスレにまで落ちていき、水面に少し封筒が反射したと思った瞬間に、風で波にさらわれ、水面に引き込まれて消えていった。
男の子の頬に、冷たくもどこか温かい風がそっと触れた。
触れた箇所に男の子は、手を当て居ないであろう温もりを感じ泣き叫ぶのであった。
【 波にさらわれた手紙 】
8/3/2025, 4:29:48 AM