─小さな命
無垢な瞳と未熟な掌が、好奇心の赴くままに弄ぶ。列を為して、巣と向かう先の何かを往復するそれに、砂をかけ、山を作り、掌で塞ぎ邪魔をする。
いつからそうして居たのだろう。色付き始めた空と、砂だらけの掌。
その子の、小さな背中に声をかける女の子の姿。それを弄んでいた手を繋ぎ、小さな命も大切に、と叱る少し大きな女の子は、きっとあの子のお姉ちゃん。
女の子の背負った綺麗なランドセルと、あの子の黄色い帽子は、然程年の差は無いのだろうと思わせる。
隣の公園がよく見える少し高めの出窓から、尻尾を揺らし、見守る猫があくびを一つ。
2/25/2024, 4:25:20 AM