NoName

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私の名前は、父が私の出生直前に、天啓のようにして浮かんだから付けたのだという。元々は他の名前にしようと考えていた様だが、なんだか今の名前を付けなくてはならないように感じたのだとか。これだけでは随分適当な名付け方だと思われるかもしれないが、由来はしっかりとしているようだった。
皆子供の頃に一度は「名前の由来」について作文にせよといった課題を課されたことがあるのではないだろうか。例に漏れず私も小学二年生の頃、その課題に取り組んだ事がある。その際に父や母から聞いた由来は、子供ながらに印象に残るものでそれなりに嬉しく思った事を記憶している。
その時の説明は、あくまでも小学生にも分かるように噛み砕いたものであり、後に詳しく聞いた話では、孔子の一節から引用したものを名前としたのだという。私は孔子についてなど高校の古文で以降殆ど触れていないもので、それが一体どんなものであるのか正確に把握はしていないが、少なくとも縁起の良い名前を付けてくれたのだろうという事だけは胸に刻んでいる。

7/20/2023, 10:14:14 AM