「あ!きいろのはなたばだ!」
母親に手を引かれた女の子が嬉しそうな声を上げた。
無邪気な女の子とは対照的に、母親はなんとも言えない顔をしている。
「……〇〇ちゃん。あまり大きな声を出しちゃダメよ」
「えー?なんでー?おはな、きれいだよー?きのうはしろでー、あしたはなにいろかなぁ?」
「〇〇ちゃん!!」
母親は思わず自分の子供を怒鳴りつける。そしてビクッとする女の子の手を掴んで、地元では有名な"自殺の名所"の橋を足早に渡って行ったのだった。
(明日は何色かな、だなんて……縁起でもないわ)
色とりどりの花束が、欄干にいくつも供えられ、風に吹かれてカサカサと乾いた音を立てていた。
花束
2/9/2024, 1:56:23 PM