白苗

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時に、寂しい気持ちになることがある。
それは懐かしい、あの場所に行ったときだ。
今や現代の宝庫と化してしまった城下町は、私の記憶を蘇らせる。
「そなたは、私の宝だ」
そう仰ってくださった貴方は、もういない。
かつて共に歩いたあの道を、歩く度に泣きたくなるのは、何故だろうか。
今の私が知るはずもなかった貴方のこと。かつて愛した、あなたのこと。
あぁ、これが前魂の記憶というものか。
きっとこの寂しさ、恋心は一生消えない。
ゆえに私は、この寂しさを抱えながら、生きていくのだろう。
あなた。私があなたの前に立ったとき、どうか言ってください。
「よく、頑張った」と。

『寂しさ』

12/20/2024, 2:05:10 AM