スマホの画面をスクロールする。
野良猫、セミの死骸、フラペチーノ……
見切れた君の後ろ姿。
ピントの合っていないぼやけた写真。
小さく写る人影。
でも僕には分かる。これは君だ。
こっちを向いてポーズする、そんな写真は一枚もなくて。
遠くに小さく写りこむ後ろ姿や横顔だけが何枚も。
くだらない写真で容量はもういっぱい。
捨てきれない想いでこの身体はもうパンクしそう。
きっと減ることは無いんだろう。
でも良いんだ。増えることももう無いんだから。
……暑い。
扇風機の風量をあげた。
君が死んだ日も、丁度こんな暑さだったな。
「いつまでも捨てられないもの」
8/17/2022, 10:17:02 AM