『初恋の日』
笑う時にくしゃりと歪む目元も、語尾が上がる控えめな笑い声も。驚いた時に目をまん丸にしてパチパチと瞬きをする幼く見えるその表情も。ああ、なんか、つい目で追っちゃうんだよなあと。気付いて目を逸らすこの瞬間が嫌らしい。
桜の散るあの日に貴方と出会った。別れも勿論桜の咲く季節。
何一つ変わる事はなかった。貴方との距離は変わらぬまま。
共に過ごした校舎に置いていく。こんな気持ちも思い出も全て。
誰に吐き出す事も出来ぬまま置いて去る。綺麗な思い出として。
何があった訳ではない。
けれど特別だった、私の初恋の記憶。
5/7/2024, 3:50:11 PM