鏡
そこにあれば見るが、見たところで何にもない、のっぺらぼうの女がいるだけ。
笑ってもいない、怒ってるでもない。悲しむでもなく、喜んでいるわけでもない。
生きると言うことは、嬉しさや楽しさ、悲しみなど様々な感情を味わうことだと思っている。
だとすれば、目の前の鏡の向こうにいる、これは果たして生きているのか、いないのか。
愛の言葉を伝える口と心地良い香りを覚える鼻がその顔に表れた時。
のっぺらぼうの目からは、数え切れないほどの涙が流れるのだろう。
end
8/18/2024, 11:05:24 AM