〈子猫〉
ペットショップで見つけた1匹の子猫。俺はその子から目が離せなかった。
近くにいた客はその子猫を指さし「少し不細工ね」と笑いながら言い、別のフロアへ行った。
ロシアンブルーの子猫は確かに顔は可愛いとは思えないような目つきをしていた。
ただ、なんとなく運命を感じた。
ガキの頃、近くの駄菓子屋を営むおばあちゃんが飼っていた猫とそっくりだからだ。
その程度で運命と使うには希薄かもしれないが、中々目を離せずにいた。
「その子、気になります?」
ずっと見ていたからだろうか。店員が気を遣って抱っこの提案をしてきた。
「いやぁ、でも…」
渋ったが、結局店員の流れに飲み込まれ、リビングには子猫が1匹増えた。
優柔不断で誰かに流されるままに行きてきた俺は、それがコンプレックスだったが、たまにはいい仕事をしてくれる。
11/15/2024, 12:03:11 PM