鏡の中の私はいつもぶっきらぼう。
もしかしたら鏡の中の私もそう思ってるかもしれない。
当たり前だ。
私と鏡の中の私は、同一人物なのだから。
でも時々考える。
鏡の中の私は、閉じ込められた他の誰かなのではないかと。
助けを求めているのではないか。
そんな空想をしながら、私は鏡を見た。
そこにいるのは、いつもの私の顔。
全く同じ動きをする。
表情も、わずかな動きにすら、淀みはない。
空想は現実にはならない。
頭の中だけの面白い展開のストーリーは、決して目の前にない。
背を向けた。
鏡の中の私も背を向けている。
見えないけど。
くだらない妄想はやめよう。
「見てるよ」
幻聴なのかわからない声が聞こえた気がした。
11/3/2023, 11:53:57 AM