赤い糸
私には赤い糸が見える。
赤い糸は運命のパートナーと言うけれど、案外赤い糸が繋がってないパートナーもいる。
でも上手くやれているようで、絶対にその人じゃないとだめ!というわけではないらしい。
赤い糸は常に見えてるわけじゃなくて、運命の人同士が近くにいるほど見えやすくなる。
さて、そんな私は出会ってしまった。
何にって、赤い糸が繋がった先の人。
駅の構内で、糸が引っ張られていくのが見えた。
辿った先には、一人の男性。
印象は普通の男の人。
スーツを着ていて、仕事帰りみたいで、もちろん私のことなんて気にする素振りもなく歩いている。
え、どうしよう。
まさかこんな所で出会うなんて思ってなかった。
戸惑っていると、一人の女性が手を振りながら彼に歩み寄りそのまま腕を組んだ。
楽しそうに笑う二人はどう見ても恋人同士。
赤い糸はもちろん繋がってない。
でも、どう見たって幸せそうだ。
私の運命のパートナーさんは、自分の幸せを見つけていたみたいだ。
運命って、思ってたより劇的じゃないよね。
彼らとは反対方向に向かって歩き出した。
私の愛する人との待ち合わせに向かった。
7/1/2023, 12:44:53 AM