狼星

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テーマ:夢を見ていたい #62

夢を見ていたい。
僕の夢は自分の足で歩くこと。
この病院から出て一人で、あるいは家族と、友達と、歩くことだ。
僕の夢はみんなにとっては、普通のことなのかもしれない。だから、僕は心の内でそう思っている。
僕の足は生まれつき動かなかった。
今でもリハビリを続けているけど、ずっと車椅子だ。
いろんなことをして病院の先生たちは、僕を歩けるようにサポートしてくれている。
僕は幸せだな。と思う。
だからこそ、この足で歩けるようになれることが僕の夢だ。
無理なことかもしれない。でも、可能性があるならその可能性を少しでも信じて、つらいリハビリでも頑張れば歩けるようになるって信じて。
そうしたら歩けるようになるかもしれない。

僕は知ってる。
僕の足は、もう動かせないことを。
それでも先生たちは僕をガッカリさせないように応援してくれる。
「がんばれ」
って。
僕はそれを知ったとき、悲しい気持ちになった。でも、心の何処かでやっぱりなって思ったんだ。
僕の足は、動かない。歩けない。走れない。
どんなに頑張っても報われないんだって。
でもここで諦めるのは、嫌だった。知らないふりして頑張って、意地でもこの足で歩いてやるんだって思った。
それで、奇跡を起こすんだって。
みんなをびっくりさせてやるんだって心のなかで自分に誓った。
諦めたら夢は見ていられない。
報われなくたって知らん顔して前を向く。
歯を食いしばって頑張るんだって。自分に誓ったんだって。
だから僕は、今は夢を見ていたい。
いつか現実になる『夢』を…。

1/13/2023, 1:35:50 PM