月見 うさぎ

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「夢が醒める前に」
あなたに会いたい。
その夢が叶えたように思えたあの日の夜。夢から醒めて何日経っても鮮明に覚えているあの日の記憶___

ずっと後悔していることがある。あの日に戻れたら、あの人に会いたい。でも、その夢は叶わないことは知っている。時間は取り戻せないことは自分が一番わかっている。

あの日、伝えたかったことがある。午後2時48分。とある交差点で人と車が接触した。怪我人、死者は2人。
あの日、あなたが守ってくれたから、私は今ここにいる。記憶の無くなったあの日。あなたは夢で教えてくれた。

「生きて。」

その言葉だけを言ってあなたは歩いてどこかへ消えていってしまった。でも、その言葉だけで全て理解出来た。
ああ、私はあの事故で助かったんだ。
だからここにいる。そして、あなたは助からなかった。ただそれだけ。ただそれだけのはずなのに、溢れ出すのは涙だけ。なんでだろう。なにか、大切なことを忘れている気がする。

目を覚まして一番最初に目に入ったのは、泣いている女性。
「××、、、!」
女性曰く、彼女は私の母親らしい。そして、私を助けてくれたのは、、、
そこだけは、聞いても分からなかった。わからないと言うより、モヤがかかってるみたいに脳内に入ってこない。まるで神様が教えないように、呪いをかけたかのように。

事故から数ヶ月が経って、また、夢をみた。彼が出てくる夢。その時も彼は
「生きて。」
とだけ言った。たったそれだけ。
でも、一回目と何か違う。何故か分からないけど、モヤが取れたように、彼との記憶が蘇ってきた。
彼は私の…大切な人だ。
それで十分だ。彼と話したい。彼に伝えたいことがある。でも、運命は残酷で、また彼が歩いていってしまう。待ってと言いたくても、声が出ない。


そして私は目が覚めた。

もう何年も前の話だけと、私は一生彼のことを忘れることは無いと思う。あれ以来、夢に出てくることはなくなって、少し悲しいけど、私は私なりに生きてみることにするよ。だから見てて。絶対に生きててよかったと思えるような旅にするから。あなたへのお土産も沢山持って、胸を張って「久しぶり」って言えるように。

3/20/2024, 12:30:57 PM