あいまいな空空を見上げると真っ暗だった。「なんも見えん……」足元は街灯の光がわずかに当たっているだけだ。絶望的だった。「なんで月もないんじゃ……」明日は雨らしいから、もう雲が立ち込めているのかもしれない。「ばか晴人ー!」「げっ」自転車で突っ込んできたのは隣の家の光里だった。「ほら! おばさんから預かってきた」「おお!」左目からコンタクトを取って、差し出されたメガネをかける。見上げると、満点の星空だった。
6/14/2023, 2:03:11 PM