星座
「死んだら星座になりたーい」
「そんな偉大なことしてへんやろ」
星の見えない東京の街で、瞼に星をうかべる。
「いいじゃあないですか。幸せなら」
「幸せやったら星座になれんの」
「おれ北斗七星希望!!」
「もはや星座やない」
秒針が進む音が木霊する。林檎の皮を剥きながら、漠然と思った。
「お前、死ぬんやなぁ」
「……そうだねぇ」
「見てるさかいなぁ、ずっと、ずっと」
「何を」
「北斗七星」
窓際は冷たく、彼はそっぽを向いて寝ている。何かを言わなければいけない気がして、言ってしまえば、彼を傷つけてしまう気がした。
「やっぱオリオン座がいいー」
「荷ィ重いわ」
彼は死ぬのだと思った。笑った。
10/5/2023, 3:26:30 PM