白黒

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『雫』

《しずくの垂れたその瞬間》    by白黒

先生:よーい、ドン!!

いっせいに走り出す
かなりきつい……
といってもたった50メートル
小4の頃からタイムは落ちる一方

春休み明けのタイムは目も向けられないだろう

先生:9.0秒 後一回走ってね~

私:前と一緒かぁ~、はやくならないなぁ、
  ん~…

次はきっと10秒になる…そう思ってしまうからか
二回目も乗り気になれない

友達:タイムどうだった?私は縮まった!
  ま、二桁だけど…w

私:私は変わらなかった…

友達:二回目頑張ろ~!てか一緒にはしろ?

私:オッケ~

友達は二桁だけどタイムは縮まってる。
私は前から0.1も変わらないのに
春休み中昼まで寝てしまったのを今になって後悔した…

────────小4────────────

先生:7.6秒!このクラスで一番早いよ!!

私:ありがとうございます。

先生:走り方がすごくいいから後で見本として走ってくれないかな?

私:私でよければ……

先生:みんなよく見てね。ちょっとあそこまで走ってもらえる?

私:はい。…………こんな感じですか?

先生:ありがとう。みんな見た?特に腕だね。勢いよくあげたり下げたりしてるでしょ?
  これはボルトや他のランナーと同じ腕の動かし方なんだよ。
  
  手を肩より上にあげて、引くときもしっかり後ろまで引く
  これを真似したら上手く走ることができます。

  後いうなら大股で走るのもコツかな

  真似してみてくださいね。────

説明の話を聞いて自分の走り方を初めて知った
客観的に他人から教えてもらうのが一番よくわかる
自分の走り方をクラスメイト全員に見られるのはかなり恥ずかしいけど…

お話は想像以上長かった
しかも。その日の、気温は28度で正直キツイ…
ひんやりした水が最高に美味しい気温だ

勢いよく口に入れたため水が一滴。

雫が落ちる

─────────────────────
         ポタッ  
        
私:うわ、汗垂れてきた…背中もびしょびしょ……
 今日何度なのかな……

友達:ん~?たしか28度だって、あっついねぇ~!
  お、始まる…!

28度……

先生:よーいドン!!

あれ?、男子と並んで走れてる
さっきはかなり差があったのに

先生:走り終わったら水分補給するんだよ~

先生二回目のタイムは教えてくれないのかな、
にしてもお水か美味い!

ポタッ

友達:ねぇ!あんた8.2秒なんだって!
  すごくはやくなってる!

私:え……

はやくなってる…小4ほどではないが、かなり………はやくなってる

友達:もしかしてフライングした?

私:なわけないよ…

完全に…………じゃないけど…

昔に戻れたみたいでうれしいなぁ………
やっぱり次も頑張ろう

《しずくの垂れたその瞬間》

4/21/2023, 1:05:09 PM