「雨音に包まれて」 #30
―――やだっ!ねえ!開けて!!開けてよっ!!
雨が嫌い。雨は怖い。
思い出したくもないトラウマが頭を過ぎるから。
深夜11時。数多の雨粒が窓に打ちつけられている。
明日は大事な大会だというのに寝られない。
怖くて怖くてたまらない。
なんとか心を落ち着けようと明るい画面とにらめっこしているが、文字の上を目が滑るだけ。
そんな中の、あなたからの通知。
「大丈夫?」「結構雨降ってるけど」
強がって、素直に怖いとは言えなかった。
でもあなたはそれを見破って「電話しよ」と一言。
今日の大会に寝不足が響かなかったのは、あなたが安心させてくれたおかげ。
6/11/2025, 10:17:58 AM