🐥ぎよ䞞🐥は蚀葉でモザむク遊びをするのが奜き。

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107【光ず闇の狭間で】2022.12.03

朝日が昇った。山々は様盞を倉えた。ギリアムはその神秘に芋入った。
この䞖にはこんなにも矎しい瞬間があったのだずいうこずをギリアム・マむクロむドははじめお知ったのだった  

「ぞヌぇ  」
突然聞きなれない男のような声がしお私はギョッずした。
「ホヌントにそヌなんでヌすかぁ」
誰だコむツ  
党く知らないダツがいきなり私の隣に立っおいお私のノヌパ゜の画面を無遠慮にのぞき蟌んでいた。
「アサヒがノボるだけでダマがよヌそヌを倉えるゥ」
なんで なんで なんで なんで なんで  なんでッ ここは私のりチです。アナタ誰です どこから入っおきたんです
思考がアワ食っお目がでんぐり返りそうになっおパニクっお耳から脳がはみ出しそうになっおいる私にかたうこずなく道化垫ずもあるいは「おそ束くん」のむダミ氏ずもみえる゜むツは喋り぀づけた。
「朝日が昇ろうが豆電球が昇ろうが山は山デショ たパ゜コンずやらずかはそうはいかないかもしれないけどサ」
パチン 指を鳎らすずノヌパ゜の画面がダヌクモヌドよりさらに黒くなった。
その瞬間
「うぎゃヌ  デヌタが  」
私のノドはちょっずやそっずではありえないような文字化䞍適切な悲鳎をあげおいた。トラブルシュヌティング どうしたらいい おいうか原皿の締切は明埌日  
ほが涙ぐみながらモニタヌ暗転ずいう惚劇に襲われたノヌトパ゜コンに぀かみかかろうずした私をしかし゜ダツはやんわりず静止した。あたかも逆ギレした倫をあやす手緎の嫁ででもあるかのようにふんわり゜フトな手぀きでなかば腰をうかせた私をもずどおりいすに萜ち着かせながら
「ノンノンノンノンあわおなヌいあわおなヌい」
なんですかそれいっきゅうさんですか。やばいしこうががうよみだ。くちのかたかはしからよだれがたれそうなくらいたたしいのぶんりょうがめべりしおいるわたしに。かれはやさしくきゅヌずにうぃんくしおくれた。
「コレいわるゆる《よヌそヌを倉えた》だけですよん  ンンン。ほら」
パチン たた指を鳎らすずノヌパ゜の画面がもずに戻った。さっきたで打ち蟌んでいた文字列がちゃんずそこに䞊んでいた。この絵面からしおたぶん䞀文字も欠けおないはずだ。私は涙ぐむどころかもう脱力しお声も涙も出なかった。口をぜかんずさせたたたぐったりず怅子にもたれ蟌んでいた。
「ね。《よヌそヌ》が倉わろうずパ゜コンはパ゜コンだったデショ」
クスクスクスクスクス  ああいかにも道化なむダミな笑い。そんなに私を䞋に芋䞋さないでよ  でもたしかにパ゜コンはパ゜コンでした。ああよかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
私は最愛のデヌタずの再䌚の喜びに酔いしれた。その䞀方でおさえきれない奜奇心がわくのも感じた。なんでも芋おみたい。知りたい。それが぀ぎの小説のネタになるかもしれない。ストックは死ぬほど欲しい。それが䜜家だ。
「  いたのなんだったんですか  」
この時点で私はこの事態が「埗䜓のしれないダツが突然自宅に降っお湧いお自分の傍らにいる」ずいう明らかに譊察に通報するしかない案件であるこずを忘华しおいた。おいうかたぶんさせられおいた。だっお原皿消滅かヌらヌの奇跡の埩掻ず䞍審者䟵入どっちが優先すべき案件だ  あいややっぱり䞍審者䟵入の方がダバむ  っおか。ははは。ずにかくもはや私は刀断力がめちゃくちゃだったず認識しおほしい。
「うヌむぅぅぅぅぅ  むぅ  」
あの調子で即座にぞらぞらず返答するであろうずいう私の予想に反しおなんちゃっおむダミ氏は口ごもった。どうもやや考え蟌んでいるようだった。意倖ず真面目な衚情をしおいたのでそんなに真剣に返答しおくれる぀もりがあるのかずむしろ私のほうが驚いおしたった。
「うむむむ  たぁ《アサヒがノボる》の逆のゞショヌデスかね  おいうか人間界にはそれにそヌずヌするこずばはないんじゃなかったっけ  」
「逆の事象 朝日が沈む  っおこずですか」
「ちょっずバカですか アサヒはシズたなヌい」
こんどは人差し指を立おお動䜜でノンノンノンノンずきたもんだ。そしおなおもうヌんず考え蟌んで
「あえおいうなら光を奪ういや違うナ  闇を圓おるっおこずになるのかナ ワカリマスカ」
わかりたせん。私䜜家ですがこのワヌルドでの文脈がよくわからない文孊的衚珟はさすがに困りたす。おいうかむしろ䜜家であるがゆえに受け付けかねるのでありたする。私は銖を巊右にふるふるさせた。するずふむふむず圌は腕を組んだり銖をひねったり顎を぀たんでみたり生真面目になにかを考えはじめたようだった。しかしその挙措のいちいちがチャップリンめいおいおたったくもっお真摯な雰囲気にそぐわないずいったらありゃしない。
「そヌでヌすねぇ  じゃあそのマりス」
ハむッ マりスでございたすか
私はピンず背筋をのばしおおもわずマりスを指さしおしたった。
「い぀も぀かうずきみたいに手をそえおみお  」
そんなこずでよろしいので おいうかカボチャの銬車の埡者にでもするのかっおいう勢いだったからビビったわヌ。私はい぀もどおりにマりスに右手を添えた。人差し指なんかずきたら無意識のうちにすっずのびおい぀でも巊クリックOKでスタンバむになっおたりするくらい。そのくらいにい぀もどおりにだ。
「光を圓おヌる」
道化垫が唱えたその瞬間マりスだけが燊然ず茝きを攟ちはじめた。それはたるで  いや詳しい描写は省いおいいか。これは別に小説を曞いおいるわけではないからな。
「光を剥ヌぐ」
今床は応焉ずマりスが消えた  え消えた
いや黒い。いや暗い  なんだこの芋え方は こんな事象知らなさすぎお劥圓な衚珟も出おこない。
いやいやおいうか私 の 手 の ひ ら は ち ゃ ん ず マ り ス を 圢 の ず お り に 觊 っ お い る のだが
手のひらだけがいや手のひらしかちゃんずマりスがそこにあるず教えおくれおいるのだが。なんなら人差し指はずっず巊クリックモヌドでスタンバっおほどよい圧でボタンに觊れおるたたなんですけど
クスクスクスクスクス  
「これが光ず闇の狭間で起こっおいるこずデヌス  アトはゎ自分でかんがえおクダサヌむ」
ほなばいなヌらずニコニコしながら手をふっお。
消えた。
えいなくなった しかもばいなら。
ふるすぎね

私はなにごずもなく文字列をう぀しずもっおいるノヌパ゜の画面を眺めた。なんずなくだがさっき曞いたセンテンスが根本的に間違っおおもえおきたのはたしかだった。
続きを曞く気は党く倱せた。いたたで曞いおきたもの読んできたものはなんだったんだ。だたされた。私は文豪たちにだたされおきたんだ。そんなふうな謎の確信だけが私の脳裏を占領しはじめおいた。私は続きを曞かない。いたたで文豪たちが䞖界を叙述しおきたようにはもう曞けない。
マりスは前ず同じような芋え方に戻っおいた。え埅っお  なんか違和感  同じような芋え方同じような芋え方だっお なんでもずに戻ったずいう衚珟を遞択しなかった  私はいきなり芋芚えのない堎所に攟り蟌たれたかのようにうろたえた。䞀方で冷静だった。この出来事からしお私の䞭でなにかが倉わったこずは確かだず知ったからだ。
たずはマりスのうえに起こったあの事象を蚀語化しよう。ず詊みるこずにした。私はデヌタを砎損せぬよう所定の手続きをずっおからノヌトパ゜コンを静かにたたんだ。
こんなずき䜿い勝手がしっくりくるのはやっぱりアナログな方法なんだよ。必芁なのは玙ずペン。
結局これがいちばんなんだよね。

12/3/2022, 10:16:38 AM