公園は夕暮れの静かな時間に包まれ、空はオレンジ色から薄紫へとゆっくりと変わりつつあった。空の端にはまだ細く輝く太陽が見え、その光が木々やベンチの影を長く伸ばしていた。
風はほんの少しだけ冷たくなり頬をそっと撫でる。少し肌寒いけれど、この時間の公園には特別な静寂があって私の心も自然と穏やかになっていく。
心の奥には普段抱えているわずかな寂しさがあった。この静けさの中でそれがふと顔を覗かせ、心を少しだけ締めつける。
けれど、そんなときあの子がいつも現れてくれるのだ。まるでその寂しさを見透かしたように、ひょいと隣にやってきてくれる。
しなやかな体を持ち上げ、ベンチの私の隣に飛び乗ると、さりげなく寄り添うようにして体を丸めた。小さな体から伝わる温もりが、冷えた体にじんわりと染みてくる。
触れた瞬間、張り詰めていた心の糸が少し緩み、頬が自然とほころぶ。
「ああ、今日も来てくれたんだ」
あの子は何も言わない。その沈黙の中にある静かな安心感が、今の私には大切なもののように思えた。
そばにいるだけで心が癒されていく不思議な感覚。心の中に生まれる安らぎと温かさが、あの子と過ごす時間の何気ない瞬間を特別なものに変えてくれる。
夕陽に照らされたあの子の毛並みはふんわりと金色に輝いている。時々顔を上げて、大きな瞳で私をじっと見つめる。その視線を感じるたびに、胸の奥がじんわりと温かくなる。あの無垢な瞳に見つめられるたび、言葉を超えた何かが通じている気がした。まるで、言葉以上のものが二人の間に流れているかのようだ。
日がさらに沈みかけ、あたりが少しずつ暗くなるとあの子は立ち上がって小さく伸びをした。ふわりとしっぽを揺らし、最後に一度だけこちらを振り返るその姿に小さく微笑む。
「またここで待ってるからね」
あの子は何も言わずにそのまま芝生の向こうへと歩いていった。その背中を見送りながら、心が少しずつ温かく満たされていくのを感じた。
【友達】
10/25/2024, 2:49:53 PM