【大切なもの】
「お母さん聞いて!私、絵のコンテストで1位に
なったの!」
私は褒めてほしいと言わんばかりに母に駆け寄った。
そして母は今日もこう言う
「そんなもの描いて何になるの?
いいから勉強しなさい。もう中学生なんでしょ?」
「はい…ごめんなさい」
私は4月から中学生になる。
中学生になったら勉強が難しくなるというのは聞いた事がある。
その事を心配してなのか、母の私への当たりが強く
なっていた。
初めての中学生のテスト。
私は勉強の仕方が分からず、平均は60点くらいだった。
テストの結果が返ってきて、母に見せた瞬間、私は現実を疑った。
母が私をビンタしたのだ
「何をしているの!
お母さんに恥をかかせるつもり!?」
「ご、ごめんなさい…」
「謝ってすむ問題じゃないでしょう!?」
「ごめんなさい…」
私は謝ることしか出来なかった。
そして時が経ち今は中学2年生。
一学期中間テストだ。
あの日から私は母の言いなりになった。
勉強を出来るようになれと言われれば勉強をし、
運動が出来るようになれと言われれば運動をし、
何かで優勝しろと言われれば優勝した。
私が母の思い通りに生活すると、母の機嫌はすこぶる
良くなった。
「ああ…私はあなたの大切なモノになんてなりたくは
なかった。あなたの大切な存在になりたかったのに」
4/2/2024, 1:09:48 PM