NoName

Open App

放課後、
先生に雑用を頼まれ
少し遅くなってしまった

ふと窓の外を見ると
いかにも雨が降りそうな天気だった
急いで階段をおりようとすると
手遅れだったようだ
外で雨の音が鳴り始めた
カバンの中から傘を取りだして
溜息をつきながら靴箱まで向かった

靴を履いて校舎を出ようとすると
ドアの前で雨が止むのを待っている彼がいた
私の鼓動はどんどん早くなる
おそらく顔は真っ赤になっているだろう
すると彼は振り返り

「雨、降ってきてもたなぁ、」

と子供のように笑った
こちらの方では珍しい関西弁で喋る姿が
どこかおかしくてつい笑ってしまった

「傘、入る?」

ふと口にした言葉に彼はとても驚いていた
彼の頷きながらも気まずそうな顔に
また少し笑ってしまいそうになった
二人で入るには少し小さい傘
私が傘を広げると彼が持ってくれた
身長差がありすぎる私に
彼は傘をかたむけてくれる
彼の優しさに少し照れながらも
私たちは歩き出した。

[相合傘、濡れてる方が惚れている]

10/12/2022, 9:59:35 PM