テーマ:I Love… #78
僕とシャドウとララキは街へ向かった。そう遠くはない。僕は街の雰囲気が嫌いだったーー
人間がたくさんいる…。
僕はいろんな人間にぶつかりそうになる。だから街は嫌いなんだ。人間がうじゃうじゃいるし、普通の人外と違って認識されるから、ぶつかるといろいろめんどくさい。この街の人は特に面倒くさい。
『大丈夫か? 真』
「大丈夫なわけないじゃないか」
僕は小声で言った。人間に聞かれても人外語だからわからないとは思うが、あまりブツブツ言っていると変な人だと思われるだろう。
『しっかし、今日は一段と人間が多いね。何かあったのかなぁ?』
シャドウの腕に抱きついたままのララキが言う。
僕たちには関係ない。僕には人間のことなんて…。
そう思いながらも、たしかにこの人混みの量は嫌だ。
「人間のことだから、何かセールでもしてんじゃない?」
僕が適当に返すとふーんと興味なさそうに呟くララキ。
興味があるのかないのかはっきりしてほしい。答えた僕が馬鹿みたいじゃないか。
『それにしても、まだ目的地につかないのか?』
シャドウが呆れたように言う。
『まぁまぁ、落ち着きなってシャドウ。カリカリしてはうまくいくものも行かなくなるってことよ』
そう言ってララキは、角を曲がる。
『さ~て、ここらへんでいいかな』
ララキは街の人混みと少し外れたところで、クルリとさっきの人混みがあった方を向く。
『ここに設置してっと…』
空をララキがなぞると、あるものが出てくる。
「掲示板?」
『そう。急ぎのようだからね、こういうものを活用しないと。急用の情報集めにはね』
ララキの言葉に少し嬉しくなった。
「ありがとう」
『礼なんていらないよ。まだ、成功したんじゃないんだから』
そう言ってララキは厳しいことを言うと、ブツブツ何かを唱え始めた。ララキは『人外のハッカー』。つまり情報をありとあらゆるところから集めることができる。
『人外たちよ、聞こえるか? ララキだ。情報を集めてほしい』
目を閉じ、手を掲示板に当てて話しているララキ。
ララキが手を離し、目を開ける。すると不思議と掲示板に色々な情報が書かれている。
『すげ…』
『光栄だな。シャドウ』
シャドウに照れくさそうに微笑むララキのしたこと、それは周囲の人外に呼びかけ、掲示板に色んな情報を一気に集める。そういったものだろう。
『さぁ、戻って求めている情報を探そうじゃないか』
ララキがそう言って、掲示板を外し歩き出す。
「持とうか?」
『それには及ばない。これも一、運動だ』
そう言ってスタスタと歩くララキ。
結構な量の情報が集まったが…すべてが全て確実に必要な情報が集まっているわけではない。余分なものは省く必要があるらしい。
僕たちはあの、ホラーハウスに戻ってきた。
『さぁ、やるか』
そう言ってララキは掲示板を下ろす。
『シャドウはこっち…真はこっちを頼む』
「分かった」『おう』
僕たちは返事をすると早速作業に取り掛かった。
【今日は人間がたくさんいるなぁーー】
【I Love… なんて言えないーー】
【次の新月が待ちきれないなぁーー】
くだらない内容ばかりが続き、はぁ、とため息をつく。
次は…? と思い見るとそこにミッドナイト組織というワードが見えて目をカッと見開く。
「これって……」
1/29/2023, 1:05:21 PM