NoName

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駅のホームに佇む二人。
既に夕方のラッシュ時は過ぎて人はまばら。
二人は視線すら合わせずに電車を何本か見送る。
「行くからな」
彼は感情を押し殺して彼女に別れを告げた。
ずっと前から冷戦状態だった。
こっちが悪いのはわかっている。
だから身を引く。
気の強い彼女は絶対に言わないと思うだろうな。
彼は小さくため息をついた。
「………行かないで」
俯く彼女が引き止めた。

10/24/2022, 8:43:51 PM