時を告げる
たった今、スマートフォンから時が止まった音を告げられた。
亡くなったって。
誰が?
祖母が。
今はタクシーを待っている。
あと数日で退院するだろうと、履き替えの靴はどれにしようかと話したところだった。
四年前に救急車で運ばれたときは一命を取り留めた。
昨日も話ができたらしい。
私は?
私はあろうことか睡眠薬を飲んでいて昨日行くことができなかった。
家から祈っただけ。
祈りは届かなかった。
おばあちゃん、ありがとう。
編み物や刺繍を教えてくれて、裁縫セットを譲ってくれて、ありがとう。
教えてもらった時間はすごく楽しかったよ。
ああ、タクシーの音だ。
もう行かなきゃ。
祖母の身体が横たわるその場所へ、いざ。
ハンカチは三枚持っておく。
9/6/2023, 1:25:15 PM