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「ねぇ、付き合えたよ。」
いつも通りの放課後。いつものファストフード店。
ポテトフライをつまむ君は、頬を染めてそう言った。
「おめでとう。よかったじゃん!」
「唯ちゃんのおかげだよ」
「あら、じゃあお礼はアップルパイでいいよ」
「調子いいなぁ……」
財布片手にしぶしぶカウンターに向かう君
後ろ姿を目で追いつつ残ったサイダーをズズッと吸い込んだ。
「はいどうぞ」
「悪いねぇ奢ってもらっちゃって」
「唯ちゃんにはほんとに感謝してるからね」
「…明日からは彼氏と帰りなね。電車、一緒なんでしょう?」
りんごみたいな顔して、君はこくりとうなづいた。

アップルパイはもうすっかり冷めてしまった。
一口一口、うんざりするほどに甘くて、必死で食べるからパイ生地はぽろぽろぽろぽろこぼれ落ちる。

君の幸せを願うよ

でもやっぱり、
子供のままでいたかった。

5/12/2023, 3:09:10 PM