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「背中の十字架」

目立たない子は、誰にも話しかけられない地味な子です。

イジメっ子達は、目立たない子をイジメの標的にして

暇つぶしのつもりで遊ぼうとしました。

目立たない子は、近くの席の子に話しかけようとすると、

その子達は、影で目立たない子の悪口を言いました。

他の子達が友達グループを作って行く中、

目立たない子は、一人ぼっちでした。

そんな中、目立たない子に話しかける子が現れました。

目立たない子は、

その子はイジメの黒幕だって事を知っていました。

目立たない子は、黒幕に

「何でそんな事をするの?」

と、問い詰めると黒幕は、

「この子は同性愛者だって!気持ち悪い!

 近づかないでよ!」

と、大声で叫びました。

勿論、目立たない子は同性愛者ではありません。

でも、周りに居た子達は目立たない子を

虫ケラでも見るかのような目で見始めました。

その日以来、目立たない子は

「キモい」

「コロス」

「ウザい」

としか言われなくなりました。

そんな事を言うのは学校の人達だけではありません。

道や電車ですれ違う人、

映画館や図書館やお店の人にも

言われの無い差別用語を浴びせられました。

目立たない子は、

「私は女の子なんて大っ嫌い!

 なのに、何で皆は女の子に

 恋愛感情を持ってるって言うの?

 私は普通の女の子なのに…」

と、いつも思っていました。

一方、イジメっ子達は、

「アイツ、何でスマホ持ってないんだろうね?」

「今はスマホのやり取りが当たり前なのに」

「まぁ、良いや。

 ちょうど、憂さ晴らしの標的探してた所だったし」

「しかし、こうも引っかかってくれると

 笑いが止まんないね!」

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

と、教室で大笑いしていました。

イジメっ子達は、ネットで

目立たない子が同性愛者だって言う

嘘の情報を広めていました。

目立たない子は、友達が出来ないから

流行の情報も知る事は出来ませんでしたし、

授業は、周りの席の子が

大声で叫ぶので聞き取れなかったり、

そのせいか、先生は

目立たない子を馬鹿呼ばわりしていました。

大人達は、目立たない子を

同性愛者ってレッテルを貼られただけで

人間扱いをしませんでした。

「お前はクズだ、役立たずの社会のゴミだ!」

目立たない子は、大人達にいつも言われて来ました。

目立たない子は、

「私は同性愛者じゃありません!」

と、いつも言っていますが、

人間達は聞く耳を持ちません。

ある人は、目立たない子に言いました。

「ネットに書かれた事は

 永遠に消えないんだよ?

 君は同性愛者だって、ネットで物凄く

 書き込まれてるみたいだけど」

目立たない子は、酷い悲しみに暮れました。

数十年後、同窓会で

社会的地位がある仕事に就いているイジメっ子達が

思い出話をしていた時、

突然、目立たない子が入って来て、

銃を乱射して、その場に居た人間達を

地獄へ送りました。

12/21/2021, 4:33:48 AM