もう辛い、辛いから。
冷たい瞳の君は僕に背を預け、泣いていた。吐くほどの辛さと、息苦しさで押しつぶされそうな君に、僕は言葉をかけられなかった。
黙ったままの帰り道も、君は泣き腫らした顔を外に向け、僕と目すら合わせてくれなかった。
「ごめんね」
ぽつりと呟く一言を聞き逃すはずもないのに、僕は聞かないふりをした。
その夜だった。学校に忘れ物をしたことに気が付き、引き返した。そして、なんとなく屋上に足を運ぶ。扉を開けると、やたら星空が広く見えた。なにか、僕以外の影が見えた。
「え…」
彼女だった。彼女は、ロープで吊り下げられて、安らかな瞳で眠っていた。
「あぁ、よかったね。」
そう思えるほどの、美しい風景だった。
3/14/2024, 11:35:32 AM