予定超過の残業を終え、誰もいない会社のカギを締める。長く息を吐きながら上を向くと大きな満月が浮かんでいた。「きれいだなぁ」慣れた手つきでスマホを取り出し、アプリを開く。メッセージ欄を手繰ろうとしてすぐに手を止めた。「あーー…」気の無い声を出しながら画面を閉じてコートのポケットへ仕舞込む。ついでに手も入れてそのまま歩き出した。宛ても無いような足取りで、その姿は街へ消えていった。
2/12/2024, 12:54:40 PM