地元では珍しい台風のような強い風が吹いている。
無論北風なので外出が億劫になるほど冷たい。
何だったら雪が混じりそうな雲の色もしていたので、今日はおとなしく引きこもることにした。
「まさに木枯らしって風だね」
炬燵にいた彼女がうんざりした表情でそう言ったが、馴染みのない単語に思わず思考が停止した。
「何その顔」
「え、木枯らしって実在するのか?」
「何言ってるの?」
彼女が困惑しているが、困惑しているのはこちらだ。
全国ニュースで聞くには聞くが、地元ではその単語を聞いたためしがない。
後から知ったが、ニュースに出てくる「木枯らし一号」は、関東地方と近畿地方でしか発表されないらしい。
こちらでは木枯らしが吹こうがニュースにならないのだ。
精々強い北風が吹きましたと言われるのみ。
馴染みがないのも致し方ない。
まさか風のことで彼女との生活圏の違いを思い知らされるとは。
予想外の出来事だった。
お題『木枯らし』
1/17/2026, 12:58:30 PM