娘を保育園に迎えに行かなくてはならない時間になった。午後4時ごろである。歩くのを面倒くさがる娘のために、ベビーカーを押して保育園に向かった。玄関にベビーカーを置き、娘の教室に顔を出した。いつものように、娘はニコニコしながら、ママ!と近づいてきた。私の手を握り、私を振り回しながら私の周りをぐるぐる回り始めた。嬉しそうにしながらも。私も愛娘の手を取り、先生に1日のお話を聞き、お礼と挨拶をして教室を出てきた。玄関につくや否や、娘はベビーカーに飛び乗った。椅子に乗せてきたぬいぐるみのわんちゃんを抱えながら。
もう、夕方だ。冬の空は暗くなるのが早そうだ。娘と一緒にガラガラとベビーカーを押しながら歩き出した。寒いので、娘に持ってきた私のフリースをかけた。顔周りを温めてあげると、ぬくぬくしながら嬉しそうにしている。
「ママ!お月様だよ!」
そういって指差した月を見上げると、それはそれは細い三日月が頭の上に見えた。まだまだ、青がかった空にうっすら白い月。
「ほんとだね!」
私も小さい頃よく見上げた空。最近全く空なんて見ない日が続いていた。娘を育てるようになって、空を教えた。そこに月があることも教えた。時々見える小さなお星様も一緒に見た。そんな空を一緒に眺めるようになってから3年。こんなにも、空を誰かと眺めることがら楽しいと思えたのは、母と小さいころ空を眺めたとき以来だろうか。
空という果てしなく続くいつもの景色は、母と娘と私の澄んだ思い出を、結んで繋いでいく一つの長い長い架け橋なのかもしれない。
1/9/2026, 11:10:50 PM