大足ゆま子

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仰ぎ見た空は、どこまでも高くどこまでも青かった。

 均等に切り分けられた似た形の雲達が、僕の真上を次々と通り過ぎていく。頭を何とか持ち上げて、投げ出した腕や足の先の景色に目を凝らすが、透き通った青い空が無限に続くだけだった。
 すん、と鼻を啜るとしょっぱい匂いとひやりとした風が、仄かに顔の中心に広がった。太陽はどこに隠れているのだろうか、姿は見えないのに時折鋭い光が瞼を射抜く。
 見上げているばかりで、首が痛んできた。体の裏側はすっかり濡れそぼって、四肢がだんだん重くなってくる。
 空はどこまでも広くどこまでも青かった。それは海も同じであった。
ボートはゆっくりと沈んでいく。



 #どこまでも続く青空

10/23/2022, 12:23:27 PM