流れ星に願いを。
―ねえ知ってる?流れ星に願いを3回心のなかで言うと願いが叶うんだって―
嘘じゃんかよ、、、、、なんでだよっ、、なんで俺の先に、、、お前が、、、
あんとき願ったよ。お前には俺より長く生きて欲しいって願ったよッ、、、!
あぁ神様って本当に不平等だよな、、、ひでぇよ笑
なんで佳奈が死ななきゃならなかったんだよ、、、
神様どうかもう一度だけ俺にチャンスを下さい。一度だけでいいから、、、佳奈を救いたい。
俺が佳奈に出会ったのは病院だったな。
佳奈は俺と同じ心臓病だった。
隣の部屋だった。
ある日俺はこの長い入院生活に飽き飽きしていた。
だからそこら辺をぷらぷら歩いていたときだった。
「ねえ、君も入院してるの?」
「え、誰?まあそうだけど、、、」
「部屋どこ?」
「302号室だよ。」
「え、私301号室だよ?隣じゃん!!」
「そうなの?名前は?」
「佳奈だよ!君は?」
「俺は駿。」
「よろしく!」
「うん!よろー!」
それから毎日俺らは一緒に過ごすようになった。
「ねえ駿聞いてよ〜」
「なんだよ笑」
「なんかさまた心臓移植の話されたんだけど〜もういい加減にしてくれって感じだよね笑」
「分かるわ~毎回のように言われるよな笑もう分かったって思うよね笑」
「そうそう!もうほんと聞き飽きたわ〜笑」
「佳奈ちゃ~ん採血するわよ〜!」
「はーい!じゃ駿またね!」
「行ってら〜!」
〜数分後〜
「駿!ただいま~!」
「おかえり〜!」
「ねえさっきさ佳奈ちゃんって駿くんのこと好きなの?って聞かれたんだけど笑」
「なんて答えたの?」
「いや〜別にって言っといた笑」
「そっか。」
「なんか落ち込んでる?!」
「いや別に笑」
「いや落ち込んでるね〜笑もしかして駿って私のこと好き?」
「自意識過剰め笑まあそうだけど。」
「え!?うそ!?私も好きだよ!駿のこと。」
「友達としてとか言うんだろ?笑」
「言わないよ笑本当に駿のこと好き。駿に出会えて幸せだよ。私。」
「俺もだよ。入院生活もちょっといいなって思うぐらいね笑」
「分かる分かる笑」
「それより聞きたいことあるんだけどさ、、」
「なになに?!珍しいね!どんとこい!」
「余命宣告とかってされた?」
「え~なんか心臓移植しないとやばいかもね的な感じで言われた。」
「そーなんだ。」
「駿は?」
「俺もだよ笑」
「嘘でしょ!!合わせたでしょ笑」
「いや合わせてないよ笑」
それから毎日俺らは一緒に過ごした。
そんなある日のことだった。
「ねえ、、、駿、、、私、駿に出会えて本当に良かったよ、、笑」
「どうした?なにがあった?」
「なにもないけどね笑」
「なにもないわけないよ。佳奈に元気がないの初めて見たもん。」
「私、なんだか駿に出会ってから毎日がすごく惜しいよ。もっと一緒に居たいと思ってしまうようになったよ笑もっと一緒にいたいな笑」
「そんな笑い方するなよ。佳奈らしくない。俺は佳奈に笑っていて欲しい。だから話してくれないか?なにがあったのか。」
「私、もう長くないみたい。笑なかなかドナーが見つからないらしくて、あと2ヶ月で見つからないとやばいかもって言われたの、、、もう二度と駿に会えなくなったらどうしようっ、、、、」
「泣かないでよっ、、、俺まで泣いちゃうじゃん!笑」
「ごめんって笑」
「じゃあさ、願い事しようよ!」
「神社でも行くの?笑」
「違うよ笑流れ星に願い事するの。」
「それ!名案だね!行こう!」
「二人で許可貰いに行く?」
「行ってみるか〜。」
「せんせーい!」
「どうしたんだい?二人して。」
『外出許可が欲しいです、、、』
「え?それなら両親どっちかに相談して来てくれるかい?僕はいいけど。」
『分かりました!!』
〜佳奈〜
「ねえお母さん。私外出したいの。」
「なにを言っているの?!だめに決まっているでしょ!」
「なんでよ!先生はいいって言ってくれたよ!」
「ねえ佳奈。よく聞いて。お母さんは、佳奈には病気を治して元気になってほしいの。分かるでしょ?」
「分かるっけどっ、、、」
「分かるのね?」
「けど!もし治らなかったとしたら、私は最後に思い出をつくらないで死ねばいいの?」
「なにを言っているの!治るに決まっているでしょう!」
「分かんないじゃん!これで最後かもしれないでしょ?!なのに思い出をつくらないで死にたくなんかないよっ!!!わかってよ!」
「ねえ佳奈。あなたがここにいれば治るものを、あなたは外に出て悪化して死にたいの?!」
「いつ死ぬかなんて分からないでしょ!それなら今すぐに思い出をつくっておきたいの!分かってよ!!今までいっぱい我慢したよ!いつもいつもお母さんの願いを聞いてきた!束縛されて生きてきた!なのにまだ私を親という存在に縛り付けるの?!」
「私には、、大切な人がいる。世界で一番私を愛してくれる人がいる!その人と最後に思い出をつくりたいの!もし行って死んだとしても私に後悔はない。行って生きたとしても後悔はない。だったら行ってもいいでしょ!?」
「佳奈。お母さんの言う事が分からない?」
「私は死にに行くわけじゃない、、、!思い出をつくるのもあるけど、、、それより私は願い事をしに行くの!死にませんようにって!まだ駿と一緒に居られますようにって!」
「願い事、、、、死なないように、、、、、そう。わかったわ。今回だけよ。」
「ありがとう。お母さん。」
「ごめんね佳奈。理解してあげられなくて。」
「大丈夫だよ。私こそごめんね。」
〜駿〜
「母さん。俺外出したい。」
「別になんでもいいんじゃない?行って死ねばいいじゃない。」
「母さん!死なないよ。俺は。俺の、、、大切な人が死ぬかもしれないんだ。その子が生きられるように願い事をしに行くんだ。」
「そう。なんでもいいわ。私には関係ないもの。」
「分かった。ありがとう」
そして病室を出た。そして廊下で佳奈を待つ。
「おまたせ!駿。」
「全然。どうだった?」
「なんとかOK!」
「俺もOKだって!」
『やったね!』
「ちょ被せないでよ笑」
「そっちだろ笑」
「先生のとこ行こー!」
『先生!OK貰いました!』
「二人は付き合ってるの?よくシンクロするね笑」
「まあね笑」
「付き合ってるんだよ〜!私達!」
「じゃあ行っておいで!くれぐれも無理はしないように。」
『はーい!』
「やったね駿!」
「そうだね!それよりどこで見る?」
「一番綺麗に見えるとこどこだろうね?」
「調べてみるか。」
「特に特定の場所はないみたいだね。広いところと東のほうが見えるところだって。」
「せっかくなら海で見る?」
「そうだね!それがいい。」
「よし!それでいこう!」
〜次の日〜
「うわ~きれいだね駿!」
「出るかなー?」
「なんの流れ星が見えるの?」
「ふたご座流星群らしいよ。」
「わっあれじゃない?!次の待とう!」
そして出るまで沈黙が続き、ついにその時が来た。
願い事をした。―佳奈がこれからも元気でいられますように―
〜佳奈〜
願い事をした。―駿とずっと一緒にいられますように―
〜駿〜
「願い事出来た?」
「出来たよ!」
「良かった笑」
「もう少し見てよっか。」
それから数時間俺らは話をしながら星空を見た。
小学生の時の話や本当にいろんなことを話した。もっともっと佳奈のことを知りたい。そう思った夜だった。
「ねえ駿。私、あの時駿に声をかけて良かった。」
「うん。俺も声をかけられて良かった。」
「もう寒いし帰ろっか?」
「ううん。まだ駿と見てたい。」
「分かった笑寒くない?」
「大丈夫!」
そして少し明るくなってきた頃。
「ねえ佳奈。まだ帰りたくなかったら、このまま朝焼けも見る?」
「私そういえば朝焼け見たことなかったな〜。」
「俺は空好きだからよく見るよ笑何回見ても飽きない」
「見る!」
そして数時間待つと太陽が出始めていた。
「うわ~眩しっ笑えっ、、、、綺麗、、、なんか世界が誕生したときを見てるみたい笑」
「まあある意味そうかもね笑」
「ねえ駿。私まだ生きていられるよね、、、?なんか怖くなっちゃった。駿に出会ってから死にたくなくなった。駿に出会う前まで、もう死ぬことは決まっているのだからそれを待つだけ。なんてこと考えてたけど、出会ってからもっとたくさんの思い出をつくりたいって思うようになったんだ。でも私は死にたくないんじゃない。生きたいの。駿のおかげだよ。こんなに幸せな気持ちを感じられたのは。本当に本当にありがとうね駿。」
「ううっ、、、佳奈っ、、、こちらこそだよ、、俺だって初めてだったから。俺の初めての恋が佳奈で良かった。」
「駿冷たくない?笑手めっちゃ冷たいよ。もう帰ろ!」
「そうだね!」
そして俺達は帰ってきた。
「せんせーい帰ってきました〜!」
「どうだったかい?」
『良かったよね〜!』
「お母さんたちも心配していたから報告するといいよ。」
「はい!」
〜佳奈〜
「お母さん!ただいま!」
「佳奈!おかえり〜!どうだった?」
「幸せだった。」
「良かった良かった。」
〜駿〜
「母さん。ただいま。」
「佳奈ちゃんのお母さんと話したわよ。いい子みたいじゃない。安心したわ!」
「わおめっちゃ元気になってる笑」
「まあまあ楽しかったならいいのよ〜!じゃあ私佳奈ちゃんのお母さんと遊んでくるわね〜!」
「いってらっしゃ~い笑」
そしてその1ヶ月後、佳奈は亡くなった。
信じられなかった。信じたくなかった。お願いしたのに。ああ、神様どうかもう一度だけ佳奈に会わせてください。
あの日から一年がたった。未だに信じられないけれど、今日は少しワクワクしている。
なぜなら見に行くからだ。また佳奈と見たあの流れ星を。あの場所で。そうしたら何かが変わるかもしれない。そう思った。
意外とすぐ着いたな。相変わらず綺麗だなー。
お!流れた!次を待とう。
そしてその時が来た。
―佳奈にもう一度だけ会わせてください―
そう願った。その瞬間、真っ白な光に包まれた。――
次に目が覚めた時、俺は病院のベッドの上にいた。
そしてそこには俺が待ち焦がれていた人。佳奈がいたのだ。
「駿〜楽しかったねー流れ星見たの。笑」
「佳奈っ、、、」
「ええっちょどうしたの駿。笑」
「会いたかったよ〜、、、」
「え?あ、うん私も会いたかったよ?」
え、まって俺もしかして過去に戻ってきた?
よし今俺にすべきことはただ一つ。佳奈を救うこと。
「佳奈。ちょっと待ってて!」
「え、分かった笑」
「先生!俺の心臓を佳奈にあげることって出来ないんですか?」
「検査してみないとわからないよ。」
「してください。検査。」
「いいのかい?」
「はい。」
そして俺は検査を受けた。
「先生。結果は?!」
「OKだよ。移植できるよ。」
「お願いします!」
そして病室に戻ると佳奈は寝ていた。
そして次の日―
「ねえ駿!ドナー見つかったって!」
「ほんとに?!よかったね~!」
「3時間後だって!それまで病室に居なきゃいけないんだ。」
「じゃ早く帰んないとじゃん笑」
「じゃね駿!」
「うん。またね。」
3時間後―
手術が行われた。結果は大成功だったらしい。
〜佳奈視点〜
ドナーが見つかった!嬉しいな〜。これで駿とずっと一緒にいられるな〜。
そして目が覚めた時には手術が終わっていた。
急いで駿に報告しなきゃ!
「駿!え、?駿〜?いないな。」
何かがおかしかった。
綺麗に畳まれた布団。綺麗な机。綺麗な棚の中。
「先生!私のドナーは誰、、、?」
「佳奈ちゃん。ごめんけど、ドナーは教えられない決まりになっているんだ。」
「ねえ!駿なんでしょ?!ねえ!教えてよ!」
「今回だけは教えるね。そうだよ。佳奈ちゃんの言う通り、ドナーは駿くんだよ。」
「そんな、、、、」
「これ佳奈に渡してって駿くんから預かったよ。」
それを受け取り病室に戻った。
それを開いてみると、手紙だった。
佳奈へこれを見ているってことは、手術は成功したんだね。
俺はね、一度佳奈を亡くしているんだ。
流れ星を見に行った1ヶ月後に佳奈は死んだんだ。俺は死ぬほど後悔した。あんなに神様を恨んだことはなかったよ。願ったのにって。
そしてその1年後にまたその流れ星を見に行ったんだ。もしかしたら、また願ったら過去に戻れるかもしれないって思ったんだ。そしたら本当に戻ってこれたんだ。そして俺は今度こそ佳奈を助けたい。そう思った。だから俺がドナーになったんだ。笑
ねえ佳奈。悲しまないでね。俺はずっと一緒にいるよ。佳奈の体の中にいる。ずっと一緒だよ。
だから早く会いに来たりしないでね笑ずっと佳奈を愛してるよ。また来世で!笑
私の体の中にいる、、、か。笑そうだね。私達ずっと一緒だね!私はいつも通り笑顔でポジティブで生きていくよ!また来世でね!笑私はまだ今世を生きなきゃいけないんだけどね笑
どうか元気でね。駿。私も愛してるよ。
私はあの日から、前を向いて歩いているよ!駿の命だからね!
「佳奈〜一緒にお買い物行ってくれる〜?」
「え~どうしようかな~。行ってあげるさ!」
「駿くんに会いに行く?」
「うん!会いに行こう!」
そして私とお母さんは駿のお墓まで行った。
「ねえ駿!もう私二十歳だよ!時の流れは早いね〜!四年も経っちゃった笑
わたくしとても元気でやっております!私はこれからも前を向いて歩いていくから!
また会いに来るね!またね!駿。愛してるよ笑」
―佳奈ありがとう―
「えっ?駿の声がする。泣いちゃうよっ、、、駿ってほんとに罪深い男ね笑
こちらこそありがとう笑また会いに来るね。」
これは私と駿の儚く綺麗な恋の物語。
これからもずっと続いていくよ。わたしたちの物語は。
どうでしょう?!良くないですか?それではさよ~なら~
4/25/2024, 12:01:18 PM