🐥ぴよ丸🐥は、言葉でモザイク遊びをするのが好き。

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114【イルミネーション】2022.12.15

去年の冬も、街がイルミネーションで彩られることはなかった。今年の冬もまた、イルミネーションが街で瞬くことはない。暖房用の燃料に事欠くような冬が2年も続くことになるとは、誰が予想できただろう。
それもこれもあの狂ったヤツのせいだ。
私はそう決めつけずにはいられなかった。冷静に考えたら、我が国も国際社会もどこかで対処を誤っていて、そのせいで2年目に突入してしまった、と捉えるのが正しいのかもしれない。だが、そもそも最初にコトの引き金を引いたのはヤツだ。ヤツがコトをはじめさえしなければ、我々はこんな冬を2年も連続で耐え忍ぶようなハメにはならなかった。
さっきから、私は迷っている。ホンの出来心で検索していたはずだったが、ほんとうに、暗殺用の兵器の製造方法を記載したサイトに行き着いてしまった。そこには、3Dプリンター用のデータも掲載されていた。
3Dプリンターなら、我が家にもある。仕事でも趣味でも使い込んでいる。見れば見るほど、私なら作れる、という確信しかそこにはなかった。しかし、だ。このデータをダウンロードしたらもう後戻りはできなくなるだろうことは容易に予想がついた。
私の人差し指は、マウスのボタンの上で引き攣りながらダンスを踊っている。上がったり下がったり、それはそれはリズミカルに。
この引き金を引くか引かざるか?
マウスに掛る指は脱力したまま、いつまでもいつまでも堂々巡りのはずだった。

が。

すくなくとも、ヤツは引いた。ならば、私も……

寒々と薄暗いアパートの一室で、私の顔面ばかりがモニターの明かりに照らされている。カラフルな明滅もなく、ただただ青白く、浮かび上がっている。

外は、もうすでに雪だった。
今夜の天気予報は、猛烈な吹雪に注意せよ、であったはずだ。



… … …



いわずもがなだとおもうけど。
安心してください。小説ですよ!

12/14/2022, 3:22:26 PM