あの奇跡をもう一度見たくて、ぼくは走る。
あいつは美しく羽ばたく蝶のような舞を踊っていた。
あの日一度だけ、たったあの一瞬。
あれがぼくには忘れられない、もう一度見たくてうずうずする心を感じながら抑えられない好奇心の波にのる。
あいつは楽しげに踊っていた。少し儚げに、寂しそうにも踊っていた。
あいつの心にまだぼくという存在がいるのなら、「ひとりじゃないよ」と言いたい。
あいつのいたあの日にあの場所に来た。心臓の音がうるさい。まだ息が上がっている。
「ふふ。あはは。」
ああ、ぼくはその光景を目の当たりにした。
_2023.10.2「奇跡をもう一度」
10/2/2023, 11:09:01 AM