NoName

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 毎年この時期、一年に一度だけ。
 ポストを見ると、彼女からの手紙が入っている。
 封を開けると、星のかけらがきらきらと噴き出る。ああお怒りのようだ。
 「私のことを、覚えておいででしょうか」から始まる手紙には、先に再び生を受けた、俺への恨み言が可愛らしく記されている。

「ほら、ご飯食べるわよ!」
「はーい!」

 玄関では、おたまを持った母親が待っている。自分の喉から発される声音はひどく高い。少女のような声色だ。無邪気な子供のふりをして、母に返事をする。

「覚えているよ、当然」

 だから、きみも早くおいで。
 空に架かる天の川。静かにそう声をかけると、星が降り、彼女の返事を伝えてくる。「昔のあなた様は、私を『きみ』だなんて呼びませんでしたわ」なんて。

7/7/2024, 1:00:48 PM