kayo。❀·̩͙

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あの人を人目見た時から
僕の心は奪われていた。
あの人を初めてみたのは
僕がこの街に引っ越し、喫茶店の仕事を始めた1日目だった。
[いらっしゃいませ]
女性の声が店内に響き渡る。
声の主は店長をしている西喜さんだ
二十代後半の若い女の人で明るく親しみやすい性格だ。
[優菜お花持ってきたよ]
[ありがとう今週も綺麗だね]
2人で仲良しそうに話していた。
まだ開店時間ではなかった。
[あの店長こちらの人は?]
話してるなかで声をかけるのは正直気が引けるが
この疑問は解決しておきたかった。
[普段はフワラーコーディネーターって行ってウエディングのブーケとかやってるんだけど昔からの仲でここを建てる時もいろいろ一緒に考えてくれてねお世話になって週に1回お花をこういう感じにして持ってきてくれるの]
すごい人だな自分の仕事に加えてここの花まで
[新人さん?この前話してた]
[うん、そうこの子が新人の]
[岩戸賢汰と言いますよろしくお願いします。]
店長が言い出しそうだったので慌てて身を乗り出した。
[あ、大人しそうだと思ったけど元気があるね
日南夏乃葉って言いますこちらこそよろしくね]
[あのもしかしてあのお花を夏乃葉さんがしたんですか?]
そう言って指を刺したのはレジの横にあるお花がドーム状になっていたものだった。
[そうだよ、レジ横に置かせてもらってるの]
それから週1でお花を持ってきてくれる夏乃葉は大人しくて優しくて可愛くて一瞬でトリコにされ気づいたら僕は恋というものに落ちていた。
やがて僕の心は僕だけじゃなくて夏乃葉さんに割り込まれることが増えていきそれが恋というものなのかと思い知らされた。
夏乃葉さんに向けるものも俺の今の心なのだと知った。

お題「myheart」
No.11

3/27/2023, 12:38:46 PM