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(タイミング)

あの子が生きていなきゃ、意味なんかないよ。

俺の人生にはずっとあの子が居た。
物心ついた頃には、隣にあの子が笑っていて、俺たちは手を繋いでいた。たまに喧嘩をして、手を離すこともあったけれど、結局いつでも2人、一緒だった。一緒じゃなきゃいけない、なんて義務のように思ったことはない。
あの子が居なかったら、俺は、俺としてこんな風にさえ思うこともなかった。だから俺という人生にあの子が居ないことは考えられないんだ。

だというのに、あの子を失いそうになった。
失うことがこんなにも怖いことに気がつけてよかった。
明日も明後日も、変わらずに「おはよう」って言えるなんて、いったい誰が決めているんだろう。当事者である俺たちにさえ教えてくれないのは、何故なんだろう。

生きていることを当然と思ってはいけない。
明日にはもう無いかもしれないのなら、俺はいつだってあの子の一番近くで、あの子を見ていたい。たとえば世界が終わる、最期の0.1秒までだって。

タイミングは今しかないと漠然とそう、思っただけの話。俺たちの約束が、増えれば増えるだけ俺とあの子が居たことを証明することになる。あの子が居なきゃ、意味なんかないよ。あの子が居るから、俺の人生は彩られていたんだ。ねえ、だから、俺と、

「結婚しようか」

ずっと一緒に居てねって、形にするタイミングは今しかなかったんだよ。

7/29/2025, 5:31:41 PM