Seaside cafe with cloudy sky

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【現実逃避】

来る日も来る日も残業、会議、出張、接待――疲れがつのるばかりで味気ない自分の毎日、いまだにあまり好きになれない仕事に、明日も、その次の日も、そのまた次の日も、延々と悩まされ続けるのか……取り引き先からの帰社途中、社用車を運転するかたわら、アランは自分の人生を思い煩っていた。
しばらく休みたい。のんびりしたい。楽しいことをしたい――そうだ、旅に出たい。よし、帰ったら一番に休暇申請を出そう。
現実逃避の考えがまとまると、アクセルを踏む足でごきげんなリズムを軽く刻みながら日の暮れはじめたオフィス街を駆け抜けていった。
そしてあくる日。昨日のスーツ姿とは違ってカジュアルな服装に身を包んだアランが、田舎の道を愛車で走っていた。
簡単に許可は下りなかったものの、なんとかもぎ取った一週間のバカンス。久しぶりの自由な時間。行き先は特にあてもなく、気の向くままにハンドルをまわす。不思議と迷いはなかった。なにかに引き寄せられるような感覚。きっと素敵な旅になる――じんわりと湧いてきたそんな予感に心をはずませながら、早春の日差しの中をアランの車はゆったりと進んで行った。

▶▶どこかのお題へ続く予定です▶▶

2/27/2024, 11:37:27 AM