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「病室と花瓶」



窓から吹き込んだ風がカーテンをなびかせて
飾られた花は揺れ動いた
何もない白い壁の中に射し込む光が優しく君を照らして
微笑む顔は柔らかな愛でした

お見舞いに来る人が入れ代わり立ち代わりするたびに
そこに置かれた花瓶は幾つの花を添えたのだろう
冷たい床の踏み音が朧気に頭に過る
いつか誰も来なくなり花瓶だけになる日が来ても
部屋に込められた想いを忘れない

花瓶は見てきた
君の笑った顔も1人になったときの寂しい顔も
不意に零れた涙も慌てて涙を拭い作り笑いした顔も
白いベッドに眠る痩せて白くなった君は
変わらない微笑みで僕の名前を呼ぶ
優しい嘘は暖かな愛でした

風の吹き込むことのなくなった白い部屋の中で
ポツリと飾られた空っぽの花瓶
甘く淡く溶け込んだ想いは確かにここにあって
溢れる愛に満ちていた

君が目覚めなくなったあの日まで…












えっと、↑実話じゃないです(苦笑)









6/7/2023, 9:25:05 AM