彼女は、まだ世界を見た事がない、と言った。
どんな意味があるか分からない。でもこれはミッションのため。最初は街に連れていった。俺は嫌いな街だったが、そこに行きたいと言ったので連れていった。俺は彼女の望むようにした。とにかくしたいと言ったことをさせた。色んなわがままを聞いただろう。そして最後の日、彼女は俺に言った。「ありがとう。世界を教えてくれて。私ね、最初に行った街が1番好き。」そう言って彼女は世界から消えた。殺したのは自分なのに、何故こんなにも涙が出るのか。そして、何故また嫌いなはずの街に来てしまうのか。自分の気持ちのはずなのによく分からない。「なんだよおまえ、また故郷に帰るのか?嫌いって言ってたじゃん。」「ああ、なんでだろうな。」そう、分からないのだ。よく分からないまま、おれはまた街へ出かけた。
1/28/2024, 3:06:25 PM