エグチーセット

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三つの時である。
あまりの煩わしさに買ってそうそう片方を紛失したらしい。
四つの時である。
近所の大学生のお兄さんに手ぶくろ可愛いねと褒められて大切につける様になった。余程嬉しかったのだろう。嬉しすぎて春がきてもつけて母親を困らせたそうだ。
五つの時である。
流石に去年の柄と色を詳細に覚えていなければ新調せねばならない。それでも何かが違うと怪訝な表情であった。怪訝にしているがつけなければ手が冷たいと覚えせっせと指を通した。
六つの時である。
つけないと寒いがつけないのがかっこいいなどと言う謎のプライドが芽生えた。あのプライドは当時しかわからないのだ。
それからはつけたりつけなかったり。
社会人になる頃には防寒兼ファッションだ。
だがいざ子持ちになれば子供用手ぶくろの可愛さで納得する。大人が揃いも揃って自分につけさせたがっていたことを。もっとてけてあげれば良かったと今更になって痛感した。

手ぶくろ

12/27/2023, 6:41:47 PM